警視庁公安部の冤罪事件、高裁判決は来年5月に 捜査の違法性が焦点
生物兵器の製造に転用できる機器を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、その後に起訴が取り消された「大川原化工機」(横浜市)の社長らが、東京都と国に賠償を求めた訴訟の控訴審が25日、東京高裁で結審した。判決は来年5月28日に指定された。
東京地裁は昨年12月、同社側に対する警視庁や東京地検の捜査の違法性を認め、都と国に計約1億6千万円の賠償を命じた。控訴審でも、捜査のあり方をどう判断するかが焦点となっている。
同社側は25日の弁論で、新たに証拠として提出した警視庁公安部と輸出規制を所管する経済産業省の打ち合わせメモや当時の捜査員の証言から、公安部が事件化のために機器の規制対象の解釈をねじ曲げた、と改めて主張。元役員に意図と異なる供述調書に署名させた点なども違法だと訴えた。
控訴審では捜査員らが法廷で、幹部の出世のために捜査が進められたとする趣旨の証言をした。都側は「推測にすぎず不当な捜査が行われた事実はない」とし請求棄却を求めた。
閉廷後の会見で、同社の大川原正明社長(75)は「つくられた事件によって我々は被害を受けた。(判決で)きっちり警察・検察の悪いところを認めてもらいたい」と述べた。
一連の捜査で逮捕された同社元顧問の相嶋静夫さんは、勾留中に胃がんが判明し、起訴取り消し前に72歳で亡くなった。相嶋さんの長男は「当初は捜査不足で冤罪(えんざい)に至ったと思っていたが、提訴からの経過をみると、冤罪ではなく、警察による犯罪だと感じている。自浄作用は期待できないので、判決で正義を示してほしい」と語った。
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