人工衛星×航空機でめざすは水蒸気量観測 「みちびき」への期待も

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佐々木凌
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 準天頂衛星「みちびき6号機」が2日、H3ロケットで打ち上げられた。地球上での位置を測るための衛星だが、天気予報にも活用しようという挑戦も始まっている。

 ANAホールディングス(HD)の高崎恵以子さん(30)が発案したのが、人工衛星と航空機を組み合わせて、大気に含まれる水蒸気量を観測する事業だ。

 もともと傘下の全日本空輸(ANA)で飛行計画づくりや運航便のサポートなどを担当していた。豪雨や台風の際には各空港の天候を確認して欠航や遅延などの判断もする。

 台風が接近している場合、国内線は出発予定時刻の12時間前、国際線は24時間前には判断しなければならない。だが、この段階の予測精度には限界があると感じた。

 例えば24時間前予報の台風進路の平均誤差は約80キロ。羽田空港成田空港の距離(約60キロ)よりも大きい。この誤差を小さくすれば、欠航を減らせると考えた。

 調べると、雲を作る水蒸気の情報が足りなかった。気象衛星による赤外線観測では、上の層の水蒸気量しか分からない。気球での観測もしているが、場所や頻度が少なく、データは限られる。

 そこで、目をつけたのが測位…

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この記事を書いた人
佐々木凌
科学みらい部|宇宙担当
専門・関心分野
宇宙、原発・エネルギー、災害・防災
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    板倉龍
    (科学雑誌Newton編集部長)
    2025年2月4日1時51分 投稿
    【視点】

    世界の空を飛ぶ旅客機と,宇宙から電波を発する測位衛星を結びつけて気象観測に役立てるという,とても意欲的なアイデアだと感じます。  2月2日にH3ロケットによる打ち上げに成功した日本の「みちびき」は,アメリカのGPS衛星と同じくGNSS(全球

    …続きを読む