秋葉剛男安保局長が近く退任へ 政府、後任に岡野外務次官を起用方針
石破政権は、政府の外交・安全保障政策の司令塔である国家安全保障局(NSS)の秋葉剛男局長(66)を退任させ、後任に岡野正敬外務事務次官(60)を起用する方針を固めた。秋葉氏は約3年半にわたる在任中、防衛費の国内総生産(GDP)比2%への大幅増や敵基地攻撃能力保有など戦後安保政策の転換に深く携わった。政府は近く閣議で人事を決定する。
複数の政権幹部が明らかにした。秋葉氏は1982年に外務省に入り、安倍、菅政権のもと2018年1月から戦後最長の約3年5カ月にわたって外務次官を務めた。外務省では第1次安倍政権が打ち出した中国との「戦略的互恵関係」の概念づくりに関わったほか、第2次安倍政権時には台頭する中国をにらんだ「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想を推進した。
外務次官退任後の21年7月、NSS局長に就任し、菅、岸田、石破の3政権にわたって政府の外交・安全保障政策を牽引。岸田政権では、敵基地攻撃能力保有や防衛費増を盛り込んだ安保関連3文書の策定や重要インフラへのサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」導入を主導した。米国のサリバン大統領補佐官、中国の王毅(ワンイー)外相ら各国要人とパイプを築き、岸田文雄前首相の国賓待遇での訪米など、歴代首相の首脳外交を下支えした。
石破政権は、米国でトランプ新政権が発足するタイミングに合わせ、NSSの人事も刷新するのが適切と判断した。岡野氏は1987年に外務省に入省。駐米公使や国際法局長、総合外交政策局長などを経て、22年9月から内閣官房副長官補を務め、NSS次長も兼務した。岡野氏の後任の外務次官には船越健裕外務審議官(59)が就任する見通し。