本堂の下敷きに…迫る津波 九死に一生を得た住職、朝寝できる寂しさ

有料記事with NOTO 能登の記者ノート

波絵理子
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 大みそかの夜11時すぎ、石川県珠洲市三崎町寺家の海沿いにある真宗大谷派・専念寺で、除夜の鐘が始まった。

 21代目住職の畠山義邦さん(75)の次女慶子さん(26)が、鐘つき棒の綱を大きく引く。

 波の音が響き、雪がちらつく中、重い鐘の音が響き渡った。

 畠山住職と出会ったのは、昨年6月下旬のことだ。私は能登半島地震の発災から3カ月おきに、車に動画用のカメラを固定し、珠洲市内を走って被災と復旧の様子を定点撮影している。その途中で住民のコメントをもらおうと、たまたま声をかけた相手が畠山住職だった。

 地震から半年近くが過ぎても、寺の本堂は倒壊したままで、屋根が地面についていた。畠山住職は屋根の上に乗り、工具で切り抜かれた穴を示しながら、発災当日の様子を詳しく教えてくれた。

 あの元日、本堂で門徒たちの対応を終えた後、居住スペースにあたる庫裏でくつろいでいるときに最初の揺れが来た。

 本堂にある仏具の落下が心配になり、向かった直後、2度目のさらに大きな揺れに襲われた。本堂が崩れ、畠山住職は下敷きになった。住職の妻、由美子さん(65)が助けを求めに走り、住民が駆けつけた。

 畠山住職が救助を待っている…

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能登半島地震

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