魚市場の卸売業者、架空会社名義で2億円手渡し 宮城県が措置命令

中島嘉克
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 宮城県塩釜市の魚市場でマグロやカツオなどを扱う卸売業者「みなと塩釜魚市場」が約10年間にわたり、水揚げした漁船側に架空会社名義で現金を手渡しするなどの不適切な取引をしていた。県は10日、魚市場を開設する市に対し、卸売市場法に基づく措置命令を出し、再発防止を求めた。

 みなと塩釜魚市場は、漁船側が水揚げした魚の競りをしている民間業者。県によると、同社は2012年9月~23年3月、複数の架空会社名義宛ての伝票を作り、水揚げ代金の一部を現金で漁船側に手渡していた。総額は約2億1300万円、魚の総量は約253トンに上るという。

 このうち約1億4600万円、約110トン分については、取引自体を県や市に報告していなかったことも判明。県に支払う岸壁使用料の一部未納なども発覚した。

 県によると、水揚げ代金の一部現金化は、漁船側が要請していた。市場との仲介役となる問屋を通じて同社に求め、東日本大震災から復興する過程で塩釜への水揚げを増やしたい魚市場側が応じていた。

 朝日新聞の取材に対し、同社関係者は「(塩釜への水揚げを求めている手前)魚市場は問屋に対して何も言えない。問屋に言われた通りにやっていた」と説明。「船の乗組員たちがすぐに使うお金として、現金が必要だったのでは」とみる。

 一方、市は取材に「大変重く受け止めている。二度と重大な事案が発生しないように努める」としている。今後、みなと塩釜魚市場への行政処分を検討するほか、水揚げ量などの統計数値も修正するとしている。

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この記事を書いた人
中島嘉克
仙台総局
専門・関心分野
デジタル、AI