別の工事でも報酬、元理事長に5千万円キックバックか 女子医大事件
東京女子医科大学(東京都新宿区)の新校舎棟の建設工事に関して建築会社社長の男性に支払われた報酬をめぐり、元理事長の岩本絹子容疑者(78)が背任容疑で逮捕された事件で、この男性が別の新病棟建築工事でも報酬を受け取り、そのうち約5千万円が岩本容疑者に渡っていた疑いがあることが捜査関係者への取材で分かった。
逮捕容疑となった工事では岩本容疑者が自身への「キックバック」を目的に、男性に報酬を支払うよう大学側に指示していたという。警視庁は別の工事でも同様の実態がなかったか調べている。
岩本容疑者は2018年7月~20年2月、同大の新校舎棟の2件の建設工事をめぐり、1級建築士の60代男性に対し、給与とは別に「建築アドバイザー」としての業務報酬名目で大学に不当に支払わせ、約1億1700万円の損害を与えたとして逮捕された。
捜査関係者によると、男性は19年2月以降に2回、新校舎建設関連の報酬で得た利益のうち3分の2に当たる計約3700万円を口座から引き出し、岩本容疑者の側近で同大経営統括部元幹部の女性に現金で手渡していたという。その日のうちに全額が岩本容疑者に渡った疑いがあるという。
警視庁は、これらキックバックされた現金はブランド品の購入などにあてられていた可能性があるとみている。
別の建築工事でも報酬
また、男性は20年3月~21年9月、東京都足立区の新病棟建築工事でも、複数回にわたり、計約1億5千万円を建築アドバイザーとしての業務報酬名目で受け取っていたという。
警視庁が捜査したところ、このうち約5千万円についても岩本容疑者にキックバックされた可能性があるという。警視庁は建築アドバイザーとしての業務の実態を調べる。
大学が設置した第三者委員会の報告書によると、大学は16年、新校舎建設や新病棟建築、病棟の耐震補強工事などに向け、男性を雇用。岩本容疑者は18年7月~22年2月、給与とは別に業務報酬として計約3億円を支払わせたとされる。
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