第2回公立高70校定員割れはなぜ 授業料無償化の影響は 大阪府教育長

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稲垣大志郎
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 2025年度の高校入試まであとわずか。授業料の「完全無償化」が大阪で進む中、24年度入試では府内の公立高の約半数が定員割れをした。水野達朗・府教育長に25年度入試での定員割れの見通しや、3年連続で定員割れをした府立高校を再編整備対象とする条例への考えを聞いた。

 ――24年度入試で、府内の公立高145校のうち70校が定員割れをしました。背景や要因をどう考えますか。

 まずは少子化。府立高の数を1校も減らさず、定員もいじらなかったら、府立高校の魅力発信うんぬんの前に、それは割れますよね。次に、授業料無償化で、経済状況に関わらず、私立を含め学校を選べるようになったこともあると思います。三つ目は、通信制を選ぶ生徒の割合が増えていることです。16年には通信制課程への進学率は3%程度でしたが、24年には7%になっています。

 ――昨年12月に発表された府公立中学校長会の第1回進路希望調査でも、公立から私立へのシフトが進んでいます。公立より私立を選ぶ中学生がなぜ、増えているのでしょうか。

 私立は、進学や部活、国際交流プログラムなどで独自性を出し、そこに対するニーズが増えています。加えて、家庭の経済的な事情で、無理だと思っていた人たちが授業料無償化で私立を選びやすくなったこともあると思います。

 ――府立高の場合、3年連続で定員割れすると、条例で再編整備の対象になります。地域から高校が消え、「空白地帯」となる自治体も出ています。子どもたちの選択肢が狭められることはないですか。

 人口急増時代を経て、これか…

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    本田由紀
    (東京大学大学院教育学研究科教授)
    2025年1月31日0時36分 投稿
    【視点】

    大阪の「教育改革」について検証した高田一宏『新自由主義と教育改革ー大阪から問う』(岩波新書、2024年8月刊)では、第5章「高校の淘汰と進路保障の危機」において大阪の高校の実情を取り上げ、以下のように結論している。 「セーフティネットである

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