証言から見えたオウム捜査の分岐点 サリンへの危機感は十分だったか

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編集委員・吉田伸八
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 松本サリン事件地下鉄サリン事件が起きた当時、警視庁などを担当し、その後もオウム真理教事件の捜査に関わった警察関係者らの取材を続けてきた。今回の垣見隆・元警察庁刑事局長の証言により、当時の捜査の実相がかなり鮮明になったと考えている。

 証言からは、いくつかの分岐点が見て取れる。仮に、そのどこかで垣見氏や幹部らが違う判断や対応を取っていたら、その後の捜査や事件の展開は変わっていたはずだ。

 松本サリン事件の後、オウムとサリンとのつながりは濃くなっていった。警察庁は、宮崎県山梨県で起きていた事件で教団施設を捜索する方針を立てたものの、実施に踏みきれなかった。

 警察側に事情はあった。教団…

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この記事を書いた人
吉田伸八
編集委員|警察庁担当
専門・関心分野
警察行政、事件、犯罪
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    塚田穂高
    (文教大学国際学部教授・宗教社会学者)
    2025年2月28日12時39分 投稿
    【解説】

    こちら、『地下鉄サリン事件はなぜ防げなかったのか/元警察庁刑事局長 30年後の証言』という書籍にまとめられたのですね。オウム真理教事件・問題について、警察庁刑事局長として捜査全体を掌握できる立場にあった垣見隆氏の証言ということで、貴重なオー

    …続きを読む