「天候は神様じゃないと…」 再挑戦のカイロス、発射は強風との闘い

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石倉徹也
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 強風により2度打ち上げが延期になった小型ロケット「カイロス」2号機。なぜ風が強いと打ち上げられないのか。発射場のある地域は元々、風が強いところなのか。スペースワン(東京都)の阿部耕三・執行役員は15日の再延期後の会見で、「直前にならないと分からない」と気象の難しさを口にした。

 打ち上げは14、15日とも、発射30分前に中止が発表された。スペースワン側が「難しい」と頭を悩ませているのが、高層の気象だ。地上の天気がよく、雷も鳴っておらず、風が穏やかであっても、上空には氷の粒で満ちた氷結層があったり、強い風が吹いたりすることもある。

 氷結層を機体が通過すると、落雷が起きて搭載機器が損傷することもある。強風を受けると、横からの力に弱い細長いロケットが壊れる恐れもある。

「直前にふたを開けないと分からない」

 今回は14、15日とも、高度10キロ付近の強風が原因だった。スペースワンは、自前で取得した数年分の上層風のデータを分析し、当日も朝から、気象データをにらみながら打ち上げ可能か判断している。「それでも直前にふたを開けないと分からないところがあるのが非常に難しい」と阿部さんは明かした。

 ロケット打ち上げは天候との闘いでもある。

 2019年、民間ロケットとして日本で初めて宇宙に到達した「インターステラテクノロジズ」(北海道大樹町)の小型ロケット「MOMO」3号機も、強風で打ち上げを2度延期した。今年9月に打ち上がった基幹ロケット「H2A」も悪天候で2度延期した。

 ロケットは、最初に決めた日時通りに打ち上がることの方が珍しいと言える。

■打ち上げウィンドーは20分…

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この記事を書いた人
石倉徹也
科学みらい部
専門・関心分野
数学、物理、宇宙・天文