1. S波の走時曲線が深發地震(震源の深さ約400粁,發震時1928, III, 29)に就き震央距離約100°迄の範圍に於いて求められ,其の還元走時曲線が作製された.
2. 震源の淺い地震ではS波の走時曲線を精確に求める事が困難である.何となればS相入射が明瞭に觀測されない場合が多いからである.
3. 第一報の結果及び上述の還元走時曲線に依つて,震源を地表面に有すると考へられる地震波の走時曲線がP及びS波に就いて求められた.從つて之より地殼内部(深さ約3000粁,地球核心附近迄)に於ける両震波速度がHerglotz-Wiechertの方法に依つて計算された.本文第2表,第3表及び第4圖(
A), (
B)に其の結果を示す.
4. 地殼内部の震波速度に就いては從來既に屡々求められて居るが,今囘の調査も其等と略々相似た結果を示して居る.但し精度の點に於いて多少勝れるものありと思はれる.
5. 地殻内部の不連續層に關しては,地表に甚だ近き部分を除けば著るしい不連續層は一つも求められなかつた.強ひて震波速度増加率變化の激しい深さをと云へば, P, S双方の場合に於いて稍々顯著に求められて居る深さの900粁を擧ぐべきか?
6. P波とS波とは傳播經路が多少異る様に求められた.既大體に於いてS波はP波程地殼内深所に入いらない.從つて地殻内に於いては彈性係數Poisson ratioは嚴密に云つて一定値を有せず,地殻内部に到る程増大する傾向が見える.
7. 他の種類の震波の調査に就いては後の機會に讓る事とする. (第二報終)
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