第18回敵対する尹政権の「自滅」は朗報だが…北朝鮮が手放しで喜べない理由

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聞き手・箱田哲也
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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が12月3日の夜に突如発動した「非常戒厳」は、わずか6時間後に解除に追い込まれ、不発に終わりました。2年半前の政権発足以来、一貫して北朝鮮に対し、強硬策をとり続けてきた尹大統領ですが、弾劾(だんがい)・罷免(ひめん)により「途中退場」する可能性が高まりつつあります。

 この混乱の極みを北朝鮮はどう見つめているのか。公安調査庁で長く北朝鮮を分析してきた坂井隆さんは、北朝鮮にとって今回の事態は「朗報ではあるが、同時に難問も抱えた」とみています。

【連載】北朝鮮インサイト

核・ミサイル開発に邁進し、日本にとってやっかいな隣国・北朝鮮。この国は実際どうなっているのか。40年以上にわたり、北朝鮮を分析してきた元公安調査庁職員による、プロフェッショナルの見方をお届けします。

 〈箱田〉北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、韓国の戒厳令騒動を約1週間も報じませんでした。北朝鮮指導部はどのように受け止めていると思いますか。

 〈坂井〉一言で言えば、喜んでいると思います。尹政権は事実上、自滅した格好であり、北朝鮮指導部にとって基本的には「朗報」と言えるでしょう。

北朝鮮ウォッチャー 坂井隆さん

さかい・たかし 1951年生まれ。78年に公安調査庁に入庁し、ひたすら北朝鮮をウォッチし続けてきた。2012年に退官後も独自に分析を進め、その手腕は専門家らの間でも高い評価を得ている。共著に「独裁国家・北朝鮮の実像」(17年、朝日新聞出版)など。

 〈箱田〉とりわけ北朝鮮が望ましいと感じるのは、どんな点でしょう。

 〈坂井〉まずは対外的な脅威…

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