第1回「カネ目当てのM&A」批判でトップ解任 緊迫の取締役会動画を入手
東京湾を眼下に眺めるタワーマンション36階の会議室。2023年11月14日午前10時過ぎ、M&A仲介での企業買収を繰り返した会社の取締役会が始まった。
常勤の取締役3人に加え、4人の社外取締役が顔をそろえた。そこにはM&A仲介最大手の日本M&Aセンターの名誉会長、第二電電(現KDDI)の共同創業者、東京証券取引所の元常務らもいた。上場を意識した布陣で、監査役の1人もZOOMで参加した。
財務担当の執行役員から、M&A仲介を通じて買収した子会社から多額の資金を吸い上げ、それを新たなM&Aや運転資金に使っていると報告された。
複数の役員から「M&Aを資金繰りに使うのは間違っている」「事前報告がないのは会社法違反だ」などの批判がわき起こり、代表取締役を解任する動議が出た。
資金繰りが切迫するなか、M&Aをいったん止めて資産を整理するか。それともお金目当てのM&Aを続けるか。緊迫した取締役会の議論の行方は――。
短期間に多くの中小企業を買収した手法が疑問視されたケースについて、取締役会の動画ファイルや議事録、内部資料、代表者を含む役員や子会社幹部らの証言をもとに検証します。
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