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Dolce
*** hana
憧れマダム
藤沢にシャリマという名前の紅茶専門店があった。
この方のことは以前にも書いた事がある。


店主が朝焼くアップルパイしかメニューにない紅茶のお店。

薄いパイ生地に、甘さ控えめの焼き林檎の乗ったアップルパイは絶品。
紅茶は、たくさんの種類があるが、皆店主にお任せだった。


ものすごく素敵なティーカップで紅茶が出てくる。




店主は、いつもシルバーヘアをまとめ髪にしたマダムで、ガリガリに痩せた体に、黒のマキシのワンピースに、白いエプロンだった。



ものすごく素敵な方だった。
若い頃よく通ったお店。

昨日、戸籍謄本を取りに行って前を通ったがもう何年も前に閉店してしまった。


こんな素敵な私たちのお手本になる様な素敵な人を見ることができないのは本当に残念だ。











家庭裁判所のある小田原にも、素敵なお店があった。

お花と果物を売る店。

お花は当時見たこともない様な変わった花が置いてあり、ガラス張りの店の中にわっさりと飾ってある。

ある時には、白ばかり、ある時は紫ばかり、ある時は、緑ばかりの花が置いてあった。秋には、赤ばかりで、実ものがたわわに置いてあり、中で忙しそうに立ち働く店主は、やはり、年配のマダム。髪をベリーショートにして、やはり黒しか着ない人だった。


この方は、シフォンのエプロンや、サテンのシルクのエプロンをして、外から眺めるのもうっとりだった。

果物の良い香りが少し開けた扉から香ってくる。






カゴ盛りなんかを注文するのは、どこかへの手土産か…。それに花を添えて…。








私は、ウエディングの時にブーケをそこに注文した。

野の花の様な雰囲気で、とお願いした。
『ドレスを着た写真を持ってきてください』と言われて、急いで家で試着をして写真を用意して持って行って打ち合わせをした。



ジーン・セバーグみたいなかっこいいベリーショートの髪には白いものが混じっていた。

でも、その当時も流行っていたつけまつげをつけて、真っ赤な口紅で、テキパキと花を選んで、

『こんな感じでどうでしょう?』

とまとめて見せてくれたサンプルは、すごく清楚で、可愛らしく、いかにもちょっと摘んできた野の花の様で…。

「リボンは、サテンにはしませんから…。コットンなんかでは?」







タフタのドレスによく似合って、とても嬉しかった。

教会から、肌を出すドレスはNGとされていましたので、こんなドレスを…。それならば、「白」が多いだろうから、グリーンを多く使いましょう、と、こんなシンプルで、素朴なブーケになりました。


ああ、これも、もう、30年近く前。









その店も、とうの昔に閉めてしまって今は、ケバケバしい看板の携帯屋さんになっている。

素敵なお店は、姿を消して、今は、チェーン店が並ぶ。
つまらないな。





こんな個性あるお店は、やはりこんな地方ではやっていけないのかなぁ?
こだわりがあって、後継者がいなかったのかもしれない。




私はその二人を長いこと見てきて、年を取ったら髪を染めるのはやめよう、そして、かっこよく黒が似合う人になりたい、そして、おしゃれを愉しんで、自分軸のある人になろうと、思ったものだった。



二人共、しっかりお化粧をして、いつも『女性らしさ』を漂わせていた。

当時、流行ったシンプル過ぎるノーメイクおばさんではなかった。よくいらっしゃいましたよね、ヨージヤマモトなんかを着てノーメイクのおばさん。二人ともそう言う感じではない。選び抜いた研ぎ澄ました様な潔いおしゃれの中でも、自分軸のメイクをしていた。

それは、誰にも似合わない、『その方』だけのおしゃれだった。長いこと女性をやってきて、選び抜いた色、選び抜いた素材、そしてその中身の豊かさ。



そして、流行や、人からの視線にブレない自分の美意識を貫くお洒落が、もうなんとも言えずに素敵だった。
私は、今、思う。年配の女性の黒は、すっごく難しい。生活や生き様、全てがさらけ出される様な色だから。少しでシワがあったり、色褪せていたり、不潔感があるなんて、絶対ダメ。生活の全てを丁寧にしていないと、黒の服は、たちまち下品で、貧相に…。

でも彼女たちにとっては仕事服。手入れのしやすさも大事でしょう。カシミヤやシルクならば良い、というわけではない。高ければ良いってものでもなくて…。素材の選び方は、お洒落を極めた方でなくては難しいかもしれないですよね…。

化繊でも高級感の出るものもあるし、手入れのしやすいものもある。



なんでも経験なんです。どんな事でも。たくさん人に聞いて、たくさん見て、たくさん着つくして、そしてあんなお洒落な人になれるんです。







『若見え』『高見え』そんな概念はぶっ飛ばしている方々でした。


憧れのお二人でした…。
もう、お目にかかることはないけれど…、藤沢と小田原を歩くと、思い出す、その姿…。




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