広島・下村静満さん〈核といのちを考える 遺す〉

聞き手・中崎太郎
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広島県世羅町(広島) 下村静満(しずま)さん(91) 陸軍中国軍管区司令部

 (1)原爆は一瞬で多くの人を殺害し、傷つけました。この69年間、忘れることができない当時の体験、光景は何でしょうか。

 青年学校の教師を経て、20歳ですぐに軍隊に出ました。満州や兵庫県加古川での戦車部隊を経て、1945年に広島の軍管区司令部に配属されました。

 8月6日は出張先の山口市で迎えました。忘れることができないのは、山口市から広島に向かう道すがらに見た光景です。門の前で立ったまま炭になっていた兵士、溝の中で放置された連隊長の遺体、1週間燃え続けた炎、お堀に浮いた大量の魚の死体……。自分だけが生きているという、それまで感じたことのない感覚でした。

 (2)原爆は長い間、被爆者を苦しめ続けました。被爆してから現在まで、恐怖や不安、怒りを感じたことはなんですか。

 「なぜ、広島なんだ」と怒りがあります。

 (3)原爆投下から69年がたとうとしていますが、核兵器はなくなりません。どう思われますか。次の世代を担う人たちにどんなことを伝えたいですか。

 人は自分が生きることに欲張りすぎます。お互いが命を持ってるものとして、それぞれの特徴を発揮して手を取り合って生きていけんものなのでしょうか。

 (4)東日本大震災原発事故が起き、たくさんの人が放射能への不安を抱えて苦しんでいます。こうしたなか、原発を再び動かそうとすることをどう思われますか。

 放射能に関わるという意味ではやっぱり、もともとは原爆と一緒です。研究はしなきゃいけないと思いますが。

 (5)安倍晋三首相は自衛隊が海外の戦争に加われる国になることをめざしています。賛成ですか、反対ですか。理由も教えてください。

 反対。集団的自衛権っていうけど、全部が「集団」ならいいのにね。戦争する世の中は惨めすぎる。

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この記事を書いた人
中崎太郎
GLOBE編集部|withPlanet編集長代理
専門・関心分野
国際関係、開発、メディア