広島・大畠美津子さん〈核といのちを考える 遺す〉

聞き手・岡本玄
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広島県坂町(広島) 大畠美津子さん(89) 県矢野町職員 

 (1)原爆は一瞬で多くの人を殺害し、傷つけました。この69年間、忘れることができない当時の体験、光景は何でしょうか。

 町長の命令を受け、矢野小学校で看護の手伝いをしました。成人男性が多い中にいた中学生の男の子のことが忘れられない。

 背中は全部やけどで、唇は腫れ上がっていた。「僕が大きくなったら、アメリカをやっつけてやる」と言い、父母の名前を呼びながら死んでいきました。ふびんでした。生と死の境の苦しみを目の当たりにして、いまもぞっとします。「こんな戦争を起こしたのは誰か」と叫びたい。原爆許すまじ。

 (2)原爆は長い間、被爆者を苦しめ続けました。被爆してから現在まで、恐怖や不安、怒りを感じたことはなんですか。

 私は救護被爆。直接被爆の人たちから「救護被爆は被爆じゃない」と言われたことがありました。でも、私たちが救護しなかったら亡くなった人は多かったと思います。のどに腫瘍(しゅよう)ができた時、原爆による影響があるのではないか、と心配になりました。

 (3)原爆投下から69年がたとうとしていますが、核兵器はなくなりません。どう思われますか。次の世代を担う人たちにどんなことを伝えたいですか。

 多くの人が亡くなるから核兵器はないほうがいいと思います。

 (4)東日本大震災原発事故が起き、たくさんの人が放射能への不安を抱えて苦しんでいます。こうしたなか、原発を再び動かそうとすることをどう思われますか。

 わからない。

 (5)安倍晋三首相は自衛隊が海外の戦争に加われる国になることをめざしています。賛成ですか、反対ですか。理由も教えてください。

 反対。安倍首相は戦争を起こす気かね。肉親を戦争に行かせたくない。昔のように、軍が暴走したらこわい。若い人たちには、しっかり見張ってほしい。

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この記事を書いた人
岡本玄
ネットワーク報道本部次長|地方裁判担当
専門・関心分野
裁判、平和・原爆