娘の体触っていた再婚相手 それでも離婚できなかった私

有料記事子どもへの性暴力

編集委員・大久保真紀 小若理恵
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 子どもたちの心身とその後の人生を脅かす性暴力について考える企画「子どもへの性暴力」の第2部は、家庭内での性暴力について取り上げます。全8回です。3回目は娘が父親から性暴力を受けていたことを知った母親の苦悩をお伝えします。子どもから被害を打ち明けられたらどうすればいいのかも考えます。

夫の加害現場を目撃

 3年前のある夜、ふと目が覚めると、夫が仕事から帰った気配があった。玄関にかばんが置いてあるが、姿が見えない。

 忍び足で階段を上り、2階にある、当時中学3年の長女の部屋へ。女性(40)がドアを開けると、下着姿の夫が寝ている娘の体を触っていた。物音に驚いて跳び起きた長女は、女性のもとに駆け寄り、「ごめんなさい」と繰り返した。

 「お父さんにはすぐに出て行ってもらう」。女性は泣いている長女をなだめ、急いで夫の着替えをかばんにつめて「もう帰ってこないで」と追い出した。

 前兆はあった。それまでは1階の部屋で家族6人で布団を並べて寝ていたが、女性が目を覚ますと、なぜか夫が長女の隣で寝ていることがあった。そのうち長女は2階の自室で寝るようになった。

子どものころに家庭内で受けた性暴力は、信頼する身近な人からの被害だけに特に心身に深い傷を刻み込むと言われています。この連載では、その実情とともに、予防や対策には何が必要なのかを考えます。もし性被害にあったらだれかに話して、助けを求めることも大切です。

 10年ほど前に再婚した夫は…

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この記事を書いた人
大久保真紀
編集委員
専門・関心分野
子ども虐待、性暴力、戦争と平和など