不適切会計、コロナ禍でも高水準 昨年は58社60件
粉飾決算といった企業の不正行為が続発している。民間調査会社の東京商工リサーチによると、不適切な会計処理を公表した上場企業は、2020年に58社60件だった。過去最多だった19年(70社73件)に次ぐ高水準で、コロナ禍のなかでも高止まりしている。
主な事例では、液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)の調査委員会は20年4月に、上場前から不正会計が行われていたと発表した。東京証券取引所は7月、株主らの信頼を損ねたなどとして上場契約違約金6240万円の支払いを求めた。証券取引等監視委員会は12月、約22億円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。
大規模な不正会計が以前も発覚していた東芝は20年1月、子会社が他社と組んで「循環取引」を繰り返していたと発表した。富士電機も子会社がこの不正行為に関与したことを明らかにした。
住宅コンサルティング会社「ハイアス・アンド・カンパニー」は、不正発覚後も監査法人や東証に虚偽の説明や隠蔽(いんぺい)工作を繰り返していた。株式の上場市場は東証1部からマザーズに12月に変更された。
このほか、ジャスダック上場の5社が、金融庁の課徴金納付命令や東証の上場契約違約金の支払い要求を受けた。
東京商工リサーチの担当者は「海外展開を加速する企業で、海外における子会社において不適切会計の発生がめだつ。経営陣による目標達成の圧力が強い企業でも起きやすい」と指摘する。監査法人などのチェックが厳しくなっていることも、不正の発覚が相次ぐ要因だとしている。
監査法人や証券会社の責任追及も
企業の粉飾決算がなくならないなか、チェック体制が問われている。株主が会社だけでなく、裁判で監査法人や証券会社の責任を追及する動きもある。
不正会計が発覚したJDIで…