びしょびしょの4歳児、通り過ぎる大人 中学生は見過ごさなかった

上保晃平
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 千葉県習志野市内で迷子になっていた女児(4)を保護して交番に送り届けたとして、習志野署は12日、同市立第一中学校3年の近藤奈乃葉さん(15)に感謝状を贈った。同署の安達忠祐刑事官は「近藤さんが優しさと勇気を持って助けなければ、事件事故に巻き込まれていたかもしれない」とたたえた。

 近藤さんは10月17日午後0時半ごろ、コンビニエンスストアで昼食を買うために、受験勉強をしていた同市秋津3丁目にある市立新習志野公民館から外に出た。すると、大雨のなか傘も差さずに1人で歩いている女児を見つけたという。

 「親は近くにいるのかな……」。心配して見ていると、女児は車通りが多い国道357号の方へ。だが、まわりの大人は気にも留めずに通り過ぎる。女児が今にも道路に飛び出しそうになっているのを見て、「このままだと危ない」と引きとめた。

 女児は「頭からバケツの水をかぶったくらいびしょびしょ」で、体は冷たく、顔もこわばっていたという。近藤さんは自分が着ていた上着を女児にかぶせた。

 「大丈夫?」「名前言える?」「家族は?」――。話しかけても、女児は「うん」「ううん」とあいまいに答えるばかり。近藤さんは「体調が悪いのかな」とドキドキしながらも女児と手をつなぎ、近くの同署秋津交番に送り届けた。「でも、話しているうちに(女児の)表情がだんだん明るくなって安心した」

 署によると、女児は近藤さんが保護する数時間前、両親が目を離した隙に1人で自宅を出てしまったという。女児にけがはなく、行方を捜していた両親にその日のうちに引き渡された。

 近藤さんは「感謝状をもらえるほど大ごとになるとは思わなかった」とはにかむ。「今後同じようなことがあれば、周りの人も気遣ってあげてほしい」と話した。

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この記事を書いた人
上保晃平
北海道報道センター|事件・司法担当
専門・関心分野
人権、社会保障、障老病異