「恵子ちゃんって中国産?」 8歳で来日、本名名乗った21歳の決意

有料記事

鷲田智憲
[PR]

 8歳の少女は中国から山形県にやってきた。日本語はまだ話せない。友達もできない。学校の先生が言っていることもよく分からない。家に帰っても話を聞いてくれる人がいない。私の居場所はどこ――。

 少女の名前は伊藤恵子さん(通称名)。両親は中国人で黒竜江省で生まれ、育った。「日本の教育を受けさせたい」という母の思いから、親戚を頼って2009年春に南陽市にきた。

 小学3年生だった。山形で最初に食べた玉こんにゃくは口に合わなかったが、小学校の校舎はきれいでトイレも水洗。「最初の1カ月はワクワクした」。学校では地元の台湾人女性が通訳をしてくれ、日本人の同級生と遊ぶことができた。

 でも通訳がいなくなると学校生活は難しい。連絡帳も日本語で書けないし、掃除当番の役割分担表も分からない。友達づくりも簡単ではなかった。

 時がたつにつれ、中国に対して周りの日本人が好感を持っていないと感じた。中国の反日デモが報道されると同級生から「反日デモに行った?」「恵子ちゃんって中国産なの?」。他にも先生の言葉に傷付けられたこともあったという。

 でも仕事が忙しい家族には相…

この記事は有料記事です。残り1025文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません