28年ぶりとなる知事交代の争いで、保守王国・石川が揺れる。衆参の国会議員と金沢市長が退路を断った三つどもえに、安倍晋三、森喜朗の両元首相が介入。半世紀にわたる政治抗争の因果がめぐる。
昨年11月下旬、自民党の安倍元首相(67)は、自ら率いる派閥清和会(安倍派)の参院議員・山田修路氏(67)を議員会館の自室に呼んだ。「知事選に出ると、参院が補欠選挙になる。党のためにならない」。翌年3月の知事選立候補への自制を求めた。
その直前、7期28年を務めた谷本正憲知事(76)が今期限りでの引退を表明。県内では、地元選出で農林水産官僚出身の山田氏への待望論がにわかに広がった。ただ、知事選にはすでに、先の衆院選で石川1区への立候補を見送った同派の馳浩氏(60)が名乗りを上げていた。安倍氏は、自派が火元の「分裂選挙」は何としても避けたかった。
「困るんだよ」。安倍氏は山田氏を何度も呼び、そう迫った。だが、山田氏は「出ると決めたんです」とかたくなだった。12月初めからの臨時国会で参院農林水産委員長のポストに山田氏をあて立候補を押しとどめようともしたが、山田氏は国会の閉会直後の12月24日、議員を辞職し退路を断った。「想定外だ。地元の県議らにそそのかされたのか」。安倍氏は周辺に不快感を示した。
■「馳でいくぞ」と森元首相…
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- 【視点】
いささかカオスな石川県知事選。石川県といえば、森喜朗元首相を擁する自民王国ですが、かつては「竹下派七奉行」のひとりと言われた故・奥田敬和氏が自民を離党して非自民の旗を打ち立てたこともありました。 しかし、それも今は昔。野党の出る幕はな
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