コロナとインフル「比較可能なレベル」に 収束への出口は近づいた?
オミクロン株によって、新型コロナウイルス感染症は重症化しにくくなり、「季節性インフルエンザに近づいた」との見方もあります。厚生労働省に助言する専門家組織は3月2日の会合で、この二つの感染症の推定致死率を比べた資料を公表しました。新型コロナはインフルエンザ並みと言えるのか。専門家組織の一員で、国立感染症研究所の鈴木基・感染症疫学センター長に聞きました。
インフルと比較 科学的には難しい
――専門家組織の資料は、推定致死率について「新型コロナの方が高い」との暫定見解を示しました。
オミクロン株になって致死率は明らかに下がりました。
資料のデータは、2月21日時点のものですが、その後も、もう少し下がっています。新型コロナの流行がはじまった当初は、致死率はインフルに比べて10倍~100倍高い状況でした。
それが、少なくともオミクロン株に関しては、あっても数倍程度。致死率だけ見れば、まだインフルより高いものの、「比較可能なレベル」になっている、とは言えると思います。
では、新型コロナとインフルで、正確にどれくらい差があるか、という議論になると、科学的には厳密に答えられません。
――なぜでしょうか。
致死率は、分母を感染者数、分子を死者数として計算しますが、インフルと新型コロナでは、分母や分子を把握するための仕組みが異なります。
感染者数や死者数を正確に把握する仕組みにも限界があります。
推計の値を使わざるをえなかったり、他の原因による死者が含まれたりする可能性もあります。
一応の推計致死率は、今回のように出せます。でも、土俵が違うので、フェアな比較とは言いがたく、私たち研究者の視点では、そもそも比べられるものではありません。
それでも、どうしても比べたいという要請が社会的にある。そのことも重々、理解していますし、その要請に対して何も答えないのは無責任です。
そこで、手元のデータをもとに最大限比べたら、何が言えるか。留意点は何かをまとめたのが公表した資料になります。
「インフル並み」になったのか?
――厳密には比べられないが…
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