若い世代は制度のはざま 「最期まで家で」のがん患者へ、広がる補助

有料記事がんとともに

編集委員・田村建二
[PR]

 若くして「がん」と診断された時、どのような自治体の支援が得られるのか。これまで支援が届きにくかった若い世代に対しても、自宅での療養を支える自治体の取り組みが少しずつ広がっている。

 神奈川県で4月にスタートしたのは、「若年がん患者在宅療養支援事業費補助」だ。

神奈川県が今年度から制度

 県内の市町村が、40歳未満のいわゆる「末期がん患者」の在宅療養生活を支援する場合に、助成額のうち3分の1を県が市町村に補助する。介護ベッドの購入やレンタル、訪問入浴の利用といったサービス利用にかかる費用を想定している。

 患者は、在宅生活への支援や介護が必要であることを医師から認められている必要がある。

 横浜市が2016年度からこの支援事業を始め、福祉用具の購入やサービス利用などにかかった費用のうち、月あたり6万円を上限に9割(最大5万4千円)を助成してきた。

 神奈川県内では鎌倉市が19年度、大和市も今年度からこの事業を始めた。

 朝日新聞は昨年秋、横浜市の支援事業を利用した患者のケースを紙面とデジタル版の連載「患者を生きる 娘たちへ 2冊のだいすきノート」で紹介した。

 32歳でスキルス胃がんと診断された女性は、亡くなる2日前の20年1月、自宅で訪問入浴のサービスを利用。この制度の助成を受けた。

 当時4歳だった双子の娘も入浴を手伝った。

 夫(37)は「制度のおかげで費用の心配をせず、妻が少しでも家で快適にすごせることだけを考えることができた」と振り返る。

国としての対策求める声も

 助成対象に年齢制限を設けない在宅生活支援は、04年度に山口市がスタートさせた。

 神奈川県によると、市町村を補助するほぼ同様の制度を兵庫県鹿児島県静岡県が設けていて、さいたま市名古屋市福岡県久留米市なども独自に取り組んでいる。

 在宅生活に支援が必要と判断…

この記事は有料記事です。残り1003文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
田村建二
科学みらい部
専門・関心分野
医療、生命科学