旧統一教会と政治の関係は「国益損なう」 櫻井義秀さんが語る本質

有料記事元首相銃撃 いま問われるもの

聞き手 編集委員・豊秀一
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 安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに政治と宗教の関係に注目が集まっている。今回の事件から何を読み取るべきなのか、宗教社会学が専門で、旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)の宣教活動を社会学的調査に基づいて学術的に論じた著書などのある櫻井義秀・北海道大学教授に話を聞いた。

     ◇

 ――二度とあってはならない痛ましい事件が起きました。事件をどのようにご覧になっていますか。

 単刀直入に申し上げて、旧統一教会にどう向き合うのか、という問題を考えるということに尽きます。山上徹也容疑者も信者である母親も、教団が生んだ多くの被害者です。問題が繰り返されながら、一握りの人々しか被害者の言葉に耳を貸さず、救済されてしかるべき人たちが、救済されなかったのです。

 その意味で、朝日新聞をはじめ日本のメディアの報道は焦点が定まっていない気がします。事件発生直後の容疑者の動機がわからない段階でやむを得ない面もあったのでしょうが、戦前のテロ事件と比較するような論調が紙面で見られました。現代の孤立した若者たちの心理や、非正規労働者の状況がこういう問題を生み出す背景になっているのではないか、という議論もありましたが、私からみればいずれもピントがずれていると思います。

 ――なぜでしょうか。

 容疑者の動機として、母親が…

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