第10回燃え尽き退職、妻の扶養に 恥ずかしい…弱さ認められず苦しんだ過去

有料記事

斉藤佑介 伊藤舞虹
[PR]

 政治や職場など様々な場面でジェンダー平等がうたわれ、男女間格差を取り払おうとする動きが少しずつ広がっています。その一方で、「男性のしんどさ」を訴える声も聞くようになりました。男性優位とされてきたこの社会で、いま何が起きているのでしょうか?(山本奈朱香、伊藤舞虹、 斉藤佑介)

荒れる妻から逃れる娘 届いたメール

 栃木県の男性(49)は5年前、当時小学生だった2人の子どもを連れて家を出た。

 その頃、元妻は毎日のように酒に酔い、子どもや自分に手を上げたり、暴言を吐いたりしていた。ある日、朝から酒を飲んで荒れる元妻から逃れるためにトイレに閉じこもった娘から、メールが届いた。

 「ママは死んでしまえばいい」。その一言で意を決し、リュック一つで家を飛び出した。

 追い詰められるまで、手をこまねいていたわけではない。市役所の窓口に何度も出向き、DVの被害者らを保護するシェルターの利用を申し込んだ。だが、担当者は「男性は利用できない」とにべもなかった。女性からのDV相談は毎日受け付けている電話窓口も、男性向けは月2回、平日の昼間に限られていた。

 結局、これといった解決策が…

この記事は有料記事です。残り2474文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

この記事を書いた人
斉藤佑介
名古屋報道センター次長
専門・関心分野
地方自治、防災、ジェンダー
伊藤舞虹
名古屋報道センター|労働福祉・SDGs担当
専門・関心分野
子どもの福祉、社会保障、ジェンダー
  • commentatorHeader
    真鍋弘樹
    (朝日新聞フォーラム編集長=社会、国際)
    2022年12月4日9時48分 投稿
    【視点】

    男性も生きづらい。「男性の役割」という固定観念を、自分自身に足かせのようにはめているから。社会もまた、それを当然のものとして押しつけてくる。 そんな日本社会の桎梏がよく伝わる記事です。紹介されている男性たちは三者三様ですが、それぞれ足

    …続きを読む

連載「男性を生きづらい」を考える(全15回)

この連載の一覧を見る