第5回「弱者男性」が闇落ちしないために 杉田俊介さんが弱さの中に見る光

有料記事「男性を生きづらい」を考える

聞き手・伊藤和行
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 「男は稼がないと」といった旧来の「男らしさ」を求められても、非正規雇用の波にのまれるなどして苦しむ男性の存在が注目されています。「弱者男性」に詳しい批評家の杉田俊介さん(47)に聞きました。

 ――なぜいま、「男がつらい!」を書いたのですか。

 2019年の京都アニメーション放火殺人事件、21年の小田急線刺傷事件や京王線刺傷事件など、1人の鬱屈(うっくつ)した男性による逆恨みや女性を狙った事件が相次いでいます。

 国際的にも「自分が女性に認められないのは、一部のもてる男が独占しているからだ」と暴発し、自分より社会的に弱い立場の人々を攻撃する事件が起きています。

 資本主義自由主義の中で置き去りにされた男性が、その怒りの矛先を女性や社会的に弱い立場の人たちに向けていることに、危機感を抱いています。

 もっと非暴力的で肯定的な男性の生き方をめざせないものだろうかと思い、自分も含めた「弱者男性」に向けて書きたいと思いました。

 「こんなにがんばっているのに、なぜ報われないのか」。そう考える「弱者男性」の思考と行動、「どうすれば生きづらさを解消していけるのか」について、杉田さんが語ります。全9回連載の5回目です。

戸惑いを経験せざるを得ない男性たち

 ――安倍晋三元首相銃撃事件の山上徹也容疑者が事件前、杉田さんのそうした論考に反応していたそうですね。

 山上容疑者のものとみられる…

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この記事を書いた人
伊藤和行
那覇総局長
専門・関心分野
沖縄、差別、マジョリティー、生きづらさ
Think Gender

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男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]

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