第6回死亡事故まねいたミスの連鎖 給食アレルギーの対応、個でなく組織で
小学5年生の沙清(さきよ)さん(当時11)が亡くなった東京都調布市での10年前の給食事故をきっかけに、全国で給食のアレルギー対策が進みました。でも、ヒヤリハット事案は各地で相次ぎ、今も重大事故の危険は潜んでいます。日本アレルギー学会の理事長で、事故の再発防止検討委員会の委員を務めた医師の海老澤元宏さん(62)に聞きました。
――沙清さんの事故が起きるまで、学校でのアレルギー対策はどのような状況だったのでしょうか。
20年以上前は、食物アレルギーがある子は特別支援学級へ行くよう言われたり、修学旅行に連れて行ってもらえなかったり、別の部屋でお弁当を食べさせられたり、保護者からそういう話をよく聞きました。学校に電話して食物アレルギーの説明をし、対応を見直すように言ったこともあります。
約1200万人の小中高校生を対象に、文部科学省が2004年に実施したアレルギー調査では、アトピー性皮膚炎やぜんそくのほかに、食物アレルギーやアナフィラキシーも調査項目に加えるよう意見しました。
これが食物アレルギーに関する初めての大規模調査となり、食物アレルギーの小中高校生は2・6%いることがわかりました。40人学級に1人の割合です。アナフィラキシーショックを起こしたことがある子は0・14%。700人に1人の割合ですから、規模にもよりますが学校に1人はいるという感じでしょう。
――調査結果を受けて、どんな取り組みを。
これでは、どこかで必ず事故が起きてしまう、と危機感を抱きました。当時の学校現場では、食物アレルギーへの認識が広がっておらず、適切な対応ができない可能性が高いと思いました。
事故の3年前には…
そこで2008年に「学校の…