日本は「選ばれる国」になれるのか…介護労働者確保に足りないこと
ケアワーカー不足に悩む介護現場は、積極的に外国人労働者を受け入れてきた。しかし、コロナ前、外国人の介護労働者は高齢化が進む国家間での獲得競争がすでに激しくなっていた。日本が「選ばれる国」であるために必要なことは。日本大学の塚田典子教授に聞いた。
――2008年にEPA(経済連携協定)に基づいて介護・看護の国家資格取得を目指す人を受け入れて以降、介護の在留資格は広がってきました。
足元の人手不足が深刻化する中、日本は移民政策を否定しながら人材確保のニーズに合わせ在留資格を拡大させてきた、と言えます。
EPAの介護福祉士候補者は、母国で介護や看護を含む高等教育を受けており、日本語能力もほかの在留資格と比べて高い。その受け入れに取り組んできた施設が、外国人雇用のノウハウを得られたことは大きいと思います。ただ、EPAの目的は国際貢献であって人材確保ではなく、受け入れ人数はインドネシア、フィリピン、ベトナムの各国からそれぞれ年間300人と制限があります。
在留資格「介護」は、日本の介護福祉士の養成施設で留学生として学ぶか、特定技能や技能実習で入国後に実務経験を積んで、国家資格を取得した場合に移行できます。徐々に増えていますが、今は4千人弱です。
――技能実習はどうでしょうか。
2017年11月、技能実習の職種に介護が追加されて以降、介護分野ではこの在留資格を持つ外国人が最も多く、2万件以上の技能実習計画が認定されています。受け入れる側にとってのメリットは、介護に関する学歴を問わず、入国の際の日本語能力の要件も低いこと。一方、悪徳あっせん業者や賃金未払いなどの問題や、原則として転職できない、家族が呼び寄せられないなど、もともとの制度上の課題には、国際的な批判もあります。
政府は技能実習などの見直しの議論を始めていますが、課題があるまま介護現場で受け入れが増えていることに懸念も感じます。
2019年4月に始まった「特定技能1号」は、EPAと技能実習の中間にあたるような、日常会話程度の日本語と、介護の知識の試験に合格した人が対象で、最長で5年滞在できます。技能実習からの移行も可能で、在留者数は1万人を超えました。ただし、家族の呼び寄せができないなど、技能実習同様に制度上の課題があります。
――国際的にも、介護分野の外国人労働者の人材獲得の競争は厳しくなっていますか。
日本は、外国人労働者を「選…