左の精巣がんから1年後、右の精巣に鈍痛 診断直後「今すぐ凍結を」
「若くたってがんになる」の8回目は、左右の精巣に腫瘍(しゅよう)ができた経験がある小杉英朗さん(33)です。がん保険を扱う会社の社員として、いつも言っていた言葉の重みを実感しました。
2012年にアフラックに入社。15年に青森県に転勤し、16年に結婚。ショップ推進部を経て、22年から営業教育部。社内のがん経験者の会「All Ribbons」でも活動している。
2018年夏、風呂に入っているとき、左の精巣に小指の爪ぐらいの小さな石のようなものがあることに気付きました。
右の精巣にはなく、左だけコリコリしたものがひっかかり、「何だ、これは」と思いました。
その半年前ぐらいからあったようにも思いますが、このときに初めて強い違和感を持ちました。
妻に相談してみると、「一応病院に行ってみたら?」と言われたので、有給休暇をとって近くの泌尿器科クリニックを受診しました。
超音波検査をすると、「すぐに大きな病院に」と紹介状を出されました。
2週間後、大きな病院に行くと、精巣がんの可能性を指摘され、涙が出ました。
若い医師でした。「がんかもしれなくて……。転移の可能性もあります」と、私のことを心配しながら、左の精巣を手術で摘出することを勧めました。
がん保険を扱う仕事をしていて、普段から「2人に1人ががんになりますよ」と説明しています。どんな人でもがんになることをわかっているのに、「なんでおれが……」という気持ちでした。
インターネットで調べていると、じわじわ不安になり、「29歳でがんになるんだ、なんでこんな若さで……」と落ち込みました。
また、それまでに妻が何回か流産していました。「子ども授かれるのかな」という気持ちにもなりました。
救いは、インターネットで精巣がんを克服されて元気に活躍する芸能人の情報を見ることでした。体験を読んで、気持ちは落ち着いてきました。
職場の所属長にだけはがんだと伝え、夏休みを使って、1週間入院して手術を受けました。
がん保険を扱っているので、がんに関する知識はありました。ただ、心のどこかに「自分はならないだろう」という考えがありました。
「がんは誰でもなる」
この言葉は本当だったんだと気付きました。
翌年、東京への異動が決まり、月に1回の定期検診は東京の病院で受けることになりました。
電車でうずくまりたくなるほどの痛み
そして、異動直後のことでした。
「あ、やば……」と思いまし…