スーダン情勢、米国の影響力は? 元米外交官注目の「予測困難」要素
戦闘が続くアフリカ北東部のスーダンで、人道危機の拡大と地域の不安定化を懸念する米国は停戦の仲介を試みてきた。米国の影響力は実際にどれほどあるのか。現地に駐在経験がある元米外交官で、米ジョージ・ワシントン大のデビッド・シン教授に聞いた。
David Hamilton Shinn 米外交官を37年間務め、レバノン、ケニア、スーダンなどで勤務。ブルキナファソとエチオピアでは大使を経験した。
――スーダンにはなぜ二つ軍隊があるのですか。
国軍は伝統的な政府軍ですが、準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は非常に珍しい組織です。(強権政治で知られる)バシル政権期(1989~2019年)に西部ダルフールで反政府組織と戦う集団から派生し、バシル氏を守る親衛隊となりました。
イエメンでの紛争では、RSFはアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアによって、(イランが支えるイスラム教シーア派武装組織)フーシと戦うために利用されました。基本的には、報酬で働く傭兵(ようへい)なのです。独立した軍事組織として活動してきましたが、過去4年間の大半は国軍と協力し、2年前にはクーデターで軍民合同政権を実質的に終わらせ、その後は共同で国を動かしていました。
米国を含む国際社会は、民政への復帰を強く求め、昨年12月に「枠組み合意」を打ち出しました。その中でRSFを国軍に統合することが提案されたのですが、統合にかかる期間についてRSFは10年、国軍は2年と主張し、亀裂が生じました。4月15日の戦闘勃発は、この不一致が深く関係しているとみています。
大きな経済資源をもつ二つの軍事組織 ロシアとの関係は
――双方の力の源泉は。
いずれも大きな経済資源を持…
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