骨太な人間喜劇「ゆりあ先生の赤い糸」 生きることの重み「断腸亭」

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中条省平のマンガ時評

フランス文学者で様々な評論活動にも取り組む中条省平さん(学習院大学教授)が、いま注目のマンガを解説します。

 今年の手塚治虫文化賞が決まりました。マンガ大賞は入江喜和の『ゆりあ先生の赤い糸』、新生賞は『断腸亭にちじょう』のガンプ、短編賞はやまじえびねの『女の子がいる場所は』。そして、特別賞は楳図かずおです。

 その前年の日本マンガの最高の成果を精選すべく、今年も多彩な秀作が揃(そろ)いました。このうち、『女の子がいる場所は』と、楳図かずおの27年ぶりの新作『ZOKU―SHINGO』は、本時評ですでに触れたので、今回はマンガ大賞と新生賞の作品をご紹介します。

 マンガ大賞『ゆりあ先生の赤い糸』の作者・入江喜和は、現在57歳の女性マンガ家で、すでに中年女性の生活の機微をいきいきと描いた『たそがれたかこ』で熱心なファンを獲得しています。

 しかし、それに続いて4年間…

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