人間が直接関わらない戦争も? 開発が進むAIドローンや自律型兵器
上空からの撮影などに使われるドローン(無人機)ですが、最近では軍事的にも使用され始めています。ロシアによるウクライナ侵攻では、爆撃、偵察、情報戦などの目的で、戦地をドローンが飛び交っています。人工知能(AI)を搭載するドローン兵器は、人間の意思を介さない「自律型致死兵器システム(LAWS)」の一種として、一部の国で開発が進んでいます。軍事的に使用すると、どんなことが起こりうるのか。国連の自律型致死兵器システムに関する政府専門家会合に、日本政府代表団の一員として参加した拓殖大学の佐藤丙午教授(安全保障論)に聞きました。
――ドローンの軍事的利用はいつからあったのでしょうか。
時期は明確ではありませんが、無人操作という点でいうと、昔から無線操縦装置の軍事的な利用はありました。第2次世界大戦や冷戦時に偵察や射撃訓練などの標的として使われたことがあります。
いわゆるドローンと呼ばれる無人機がいつ利用されるようになったか、断定は難しいです。クアッドコプター(四つの回転翼)やマルチコプター(複数の回転翼)が搭載され、空中で安定飛行できるものが開発されたことが重要なポイントです。安定飛行できるドローンができ、農薬散布や映像撮影などに活用されるようになった。そこから、ドローンに爆弾を搭載できれば遠距離の攻撃をかなり精密に行うことができる、という発想が生まれたのではないでしょうか。
――世界各地の戦闘で軍事的ドローンによる攻撃が行われています。
アルメニアとアゼルバイジャンの紛争、アフガニスタンの戦争などは「ドローン戦争」として注目されました。中国がドローンを使って尖閣諸島などを偵察するのも軍事利用といえます。いま戦闘が起きているロシアとウクライナでは日々飛び交っています。攻撃や偵察以外では、敵側のWifiなどの通信信号に反応し、拠点を破壊するために使われることもあります。
なかでも注目しているのは「音」を利用した一種の攻撃です。夜間に「ブーン」というモーター音のするドローンを住民や敵兵たちが集まる敵地の上空で行き来させ、「ドローンによる爆撃があるかもしれない」という恐怖心を与え続ける「心理攻撃」です。これは人の心を狂わせ、体力も消耗させます。夜間の飛行なので、小型のドローンでも効果があります。
――今、軍事的にドローンや無人機にはどんなことができるといえますか。
法整備や技術、資金面など…
- 【解説】
AI技術は軍事目的利用のために開発されていないものでも容易に軍事転用される可能性があり、テクノロジーを研究する者にとっては難しい問題です。 一点、記事中の表現で誤解を招きかねない点があります。最後の「今年5月にあった米空軍の実験」につ
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