ローカル駅の再生の鍵はトイレにある? 岡山県真庭市は、赤字区間を抱えるJR姫新(きしん)線の地元駅のトイレをおしゃれに、そして使いやすく改修した。木目調の外壁に、更衣室まである。市が整備したこのトイレが、駅の利活用にもつながる町おこしの基点となっている。
岡山県北部で中国山地のほぼ中央にある真庭市を横断するように走る姫新線。市役所から歩いて約10分のところにあるJR久世駅前にあるトイレ「木テラス」は、まるで大きな家具のようだ。
地震や火事に強い直交集成板(CLT)を使い、大きな3枚の板壁が屋根板を支えるシンプルな構造。中に入ると木の匂いが漂う。洋式のトイレだけでなく、縁台のようなテラスや更衣室も備える。
女性建築士に設計を委ね、2017年に完成した。親子連れが使いやすいように、女性トイレには幼児用の小便器もある。女性建築士の提案を募った理由について、太田昇市長(71)は「女性の視点で設計してもらうことで、すべての人にとって使いやすい施設になるのではないか」と当時話していた。
真庭市内にはJR姫新線の駅が七つあり、このうち駅舎があるのは六つ。市はこれらの駅舎の管理を担っており、「トイレは観光資源」を合言葉に掲げ、今年3月までに駅のトイレをすべて洋式に改修した。
市くらし安全課の矢田部彰課長(50)は「家庭でも洋式トイレが当たり前の時代になり、インバウンド(訪日外国人客)の『日本のトイレはきれい』というイメージも裏切りたくない」と説明する。
ジャージー牛が運ばれて来ていた駅
久世駅のトイレ「木テラス」の整備に伴い、駅を中心にしたイベントの開催が増えている。
このトイレを出発点とするサ…