「芸備線の『あり方』についての議論の場ではございません」
広島県の幹部はいきなり、JR西日本側を牽制した。きょう、芸備線の存廃問題を議論する気はない。そう宣言するかのように。
5月10日、広島、岡山両県とJR西、国土交通省による会合の冒頭の場面だ。
声の主は杉山亮一・地域政策局長。会場に緊張が走った。赤字ローカル線をめぐり、このような自治体とJRの神経戦は全国各地で起きている。
理由がある。4月、地域公共交通の再編に向けた改正地域公共交通活性化再生法が成立した。関係者たちは一様にこの法整備を意識している。
中国地方での焦点は、乗客減少に悩む芸備線だ。広島、岡山両県はJR西側と会合を持ってはいるものの、あくまで芸備線の利用促進のためのヒアリングとの位置づけだ。ただ、JR西は赤字区間の存廃問題に踏み込みたいと考えている。
JR西側は会合で、都市部を走る区間も含め芸備線の全区間が赤字だとするデータを自治体に示した。
同社の飯田稔督・地域共生部…