AIグラドルで騒動、写真集ランキングに異変 性表現とAIの問題点

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加藤勇介
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 生成AI(人工知能)を活用して生み出されたグラビアアイドルの写真集が批判され、販売を中止する事態が起きた。AIをめぐっては賛否様々な声があるが、今回の論点の一つは水着姿のグラビアということで性の商品化の一面があったことだ。今回は大手出版社が関わったことで注目を集めたが、電子書籍サービスの売り上げランキングを眺めると、すでに上位をAI生成作品が席巻する状況が起きている。AIと性をめぐる問題点はどこにあるのだろうか。

 「たぬき顔妹系」「永遠のセブンティーン」。こんな売り文句で「週刊プレイボーイ」(集英社)6月12日号に掲載されたのは、様々な素材を学習して作られたAIグラビアアイドル「さつきあい」だ。

 その姿は断り書きがなければ普通のグラビア写真と見まがうほどで、一見して人工物と分かったCG製のかつてのバーチャルアイドルとは全く異なる。

 同誌はAIグラビアについての特集ページも掲載。電車の中や人通りの多い道など「ありえないシチュエーションでグラビア撮影」、体形やメイクをカスタマイズして「どこまでも自分好みの女のコに」と、AIの利点が強調された。

 雑誌掲載と同時にデジタル写真集も発売されたさつきあいには「本当の人間みたい」と感嘆の声が上がる一方で、「カメラマンやヘアメイクの経費も必要ないAIが普及するとグラビアアイドルの仕事がなくなる」といった意見のほか、「あるタレントに似ている」として、そのタレントが「望まないであろう衣装やポーズをさせているのでは」と批判の声が上がった。

 生成AIをめぐっては、著作権問題の指摘や、「仕事を奪う」の議論が起きている。発行元の集英社は事前に権利関係には問題ないことを確認していたというが、発売から9日後に写真集の販売終了を発表した。

 発売後に様々な声が届いたことで「制作過程において、編集部で生成AIをとりまく様々な論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました」とコメントを発表した。

 また集英社広報部は朝日新聞の取材に対し、「特定の人物をモデルにしたものではございません」と回答した。

著作権と肖像権で違い、弁護士の見解は

 ただ、こうしたAI生成物は大手出版社が手がけたのは珍しかったが、写真やイラストで世の中にあふれかえっているのが現状だ。

 電子書籍サービス「キンドル」の売り上げランキングでは、タレント写真集部門やアダルト部門で、個人作成と思われるAI生成のコンテンツが上位を占める。

 芸術家や実演家などでつくる…

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