万年補欠の私がなぜ野球を続けられたのか 母校の後輩が教えてくれた

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大宮慎次朗
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 試合に出られる可能性がほぼない状況でも、なぜ球児は白球を追うのだろう。部員が100人近い埼玉県の私立で「万年補欠」だった元球児の記者(26)が、考えた。

 「学生のころ、なにか部活やってた?」

 仙台、横浜の両総局を経て今春、スポーツ部の記者になった私はそんな何げない質問に、言葉が詰まる。

 「一応、高校までは野球を」

 「一応」と予防線を張るのは、公式戦で一度もベンチ入りしたことがない「万年補欠」だったからだ。

 この夏、私は地方大会が行われている各地の球場に通い、甲子園で日本一が決まるまでを取材するつもりだ。そんな高校野球の季節を迎え、自問した。

 万年補欠だったのに、私はなぜ3年間、野球を続けられたのだろうか。なぜ今も野球に携わるのだろう。

 かつての自分と同じような境遇の後輩に会えば、答えが見えてくるのではないだろうか。そう考え、母校の立教新座(埼玉)を訪ねた。

 立教新座は40年近く甲子園から遠ざかるが、いまも80人近い部員を擁し、今夏の埼玉大会でもシードされている。

 6月中旬、訪れた。練習試合が行われているグラウンドそばの室内練習場から打球音が聞こえてくる。練習試合のベンチに入れない選手たちが、黙々とティー打撃をしているのだ。かつての私の定位置だった。

 池田圭監督(28)には「メンバーに入れそうになくても、頑張っている選手に話をききたい」と伝えていた。練習試合の合間、池田監督が小柄な選手を連れて来てくれた。

 3年生で二塁手の塚田創己(きずき)さんだった。

 「え、取材? 僕でいいんで…

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この記事を書いた人
大宮慎次朗
スポーツ部
専門・関心分野
野球
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    金子元希
    (朝日新聞ネットワーク報道本部次長)
    2023年7月22日8時42分 投稿
    【視点】

    野球でスタメンに入れるのは9人だけ。 全国で地方大会が佳境に入っていますが、大宮記者のように「公式戦出場なし」で3年間を終える選手は数多いると思います。 現在まさに勝ち抜いているような強豪になれば、なおさらです。

    …続きを読む