プリスクールで英語が得意になる子、苦しむ子 体験談から見えたもの

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植松佳香
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 未就学児を英語環境で育てる「プリスクール」が人気だ。プリスクールに入れて英語が堪能な子に――。そう期待する親も多いが、個人差が大きいのも現状だ。中には英語に苦手意識を持つ場合や、日本の小学校に進んでなじめず苦労することもある。プリスクールを経て、それぞれ違う進路を選んだ3家族に話を聞いた。

ケース1:英語得意でインターへ

 都内の女性(38)は、娘(8)が4歳のとき、娘を地元の認可保育園からプリスクールに転園させた。当時、周囲は小学校受験を意識し始めており、女性も私立小を念頭に、教育理念と合いそうな学校を探していた。

 その中で出会ったのが、「国際バカロレア(IB)教育」だった。「探究する人」「信念をもつ人」など、IBが価値を置く人物像が、自分たちの目指す教育方針と重なった。日本語でIB教育を行う幼稚園や学校もあるが、「英語の方が選択肢が広がる」。IB教育を実践するインターナショナルスクールに通わせる前提で、系列のプリスクールを選んだ。

 プリスクールに入れるまでに、IBに詳しい人やインターの受験コンサルに話を聴き、情報を集めた。IB教育から日本的教育に戻すと劣等感を覚える可能性があることなど、マイナス面も把握した。高額な費用についても試算。高校段階までインターに通うと、大学卒業までに5千万円以上かかると見積もった。

 「プリスクールに入れる段階で経済計画を立てた。共働きでも大変な金額で、子どもは1人にしようと決めた。自分たちの人生にもいい刺激になると夫婦で納得してのことです」

 迷いはなかったのか。夫(38)はこう断言する。

 「日本の学校に対して危機感と忌避感がある。教育システムがずっと昔から変わらない日本の学校に通わせる方が、よっぽどリスクじゃないですか?」

英語でやりきった! 娘の自信

 娘はそれまで、保育園で週に1回英語に触れる程度だった。プリスクールになじめるようにと、転園前にはサマースクールに通わせ、オンライン英語も土日メインで週に2、3回始めた。

 プリスクールに入ってからも、家の中で英語を聞く環境を作った。夫婦ともに英語は比較的得意。それでも、英語で込み入った話を聞くのは難しく、翻訳機を駆使しながら先生とコミュニケーションを取った。

 娘は、はじめは環境の変化に戸惑いも見せた。が、少人数のクラスだったこともあって徐々になじみ、その年の学芸会で主役をやったのを機に大きく成長した。

記事後半では、子どもが英語に苦手意識を持ってしまったり、公立小でギャップに苦しんだりした家族の話を紹介します。識者による「うまくいくコツ」も伝えています。

 「セリフは少ない役でしたが…

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この記事を書いた人
植松佳香
東京社会部|教育担当
専門・関心分野
子ども、教育、労働、国際関係