ママのもう一つの誕生日 「死なないぞ」1歳半の息子に誓った31歳

有料記事患者を生きる

熊井洋美
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 気がつくと、足や肩にいくつものあざができていた。

 「私、そそっかしいなあ」

 横浜市の中村綾(りょう)さん(35)は苦笑いした。

 息子が生まれて1年半。

 マイホームも建てた。久しぶりに働きに出なくちゃ、と、飲料会社の販売員になって半年ほどが過ぎていた。

 大きな保冷バッグを提げて街中を回る日々。知らないうちに、あちこちで足をぶつけていたのだろう。疲れやすく、毎月風邪をひいてはこじらせて、治りも悪かった。

 結婚後、仕事を辞めて不妊治療に専念して、出産後も息子の世話と家事に追われた。

 外に働きに出るのは久しぶりだから、なかなか体力が戻りにくいんだ……。

 そう振り返り、「頑張らなくちゃ」と気合を入れた。

 不安を覚えたのは、夏が近づいたころのことだ。ショートパンツをはきたいな、と思って何げなく鏡に映った姿を見ると、足にこれまでよりも大きなあざを見つけた。

 驚いて皮膚科クリニックに駆け込んだが、原因はわからないと言われた。同じ時期、健康診断の結果が返送された。血液検査の数値が異常に悪かった。

 皮膚科で紹介状を書いてもらった病院に行くと、さらに大きな病院を紹介された。

 「その数値が出る人は、白血…

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