第2回叱って食べさせて幸せ?「野菜嫌いはスクスク育たない」という妄想
保育園で園児に無理やり食べさせるなど、問題になっている給食の完食指導。東京・世田谷には「食べ残しがほとんど出ない」ことで知られる保育園があります。
どんな工夫をしているのでしょうか。
私立「さくらしんまち保育園」の小嶋泰輔園長(47)に話を聞きました。
――食べ残しが出ないのは、なぜですか。
私たちの園の給食は、3~5歳児はセミバイキング形式にしています。
ご飯やサラダなど、先生と「どれくらいがいい?」「もうちょっと減らす?」と会話しながら、何をどれくらい食べるか子ども自身が決めます。
自分で選んでいるわけですから、責任を感じるのか自然と完食します。だから、残飯入れは用意していません。必要ないからです。
大人も食べ放題のバイキングに行くと、「自分で取ったものはちゃんと食べないと」と思いますよね。それと同じだと思います。
ただ、初めてのメニューのときは、残してしまうことがゼロではありません。そのときは、残飯入れがないからといって「絶対残しちゃダメ」というようなことはしません。
最初は苦手なものを全く器によそわない子もいますが、それも認め、卒園までに少しずつ親しめるようにします。
勇気を持って、無理しなくていいよ、と伝えること。「撤退する勇気」が大切です。
食べる時間も子どもたちが決めます。
午前11時15分~12時半の間なら、好きな時にランチルームに行けるようにしています。
登園時間が午前7時の子もいれば、午前9時の子もいる。当然おなかのすき具合は違います。同じ時間に食べさせる方が、おかしいと思いませんか?
以前、ドイツの保育園を視察したとき、午前10時から昼ご飯を食べている園児がいました。さすがに驚きましたが、ヨーロッパでは子どもの意思を尊重するのが、空気のように当たり前なんです。そうした人権の観点は、日本流にアレンジして採り入れています。
全国の保育園で今年に入り、完食の強要や、給食を無理やり口に入れるなどの不適切な指導が相次いで発覚しました。子どもの心に傷を残し、大人になってからも影響を及ぼすことがある「完食指導」。何が問題なのか、専門家とともに考えます。
また、先生たちが園児100…
- 【視点】
もう、40年以上も昔のこと。不肖・私が通っていた幼稚園のお昼も給食でした。時間になると、みんなそろいのランチボックスが配られて、みんなで手を合わせて「いただきます」。ご飯もおかずもいっつも冷たかったこと、カレーのルーの色がやたら黄色かったこ
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