教員の「支援」が不登校生を追い詰める? 学校が果たすべき機能とは
2022年度の不登校の小中学生が30万人に迫り、6年連続で過去最多を更新した。専門機関などによる支援を受けていない子も増えており、支援体制の拡充が課題となっている。不登校生の増加の背景には何があるのか。いま必要な手立ては何か。文部科学省の「不登校に関する調査研究協力者会議」の座長を務めた野田正人・立命館大特任教授(学校福祉論)に聞いた。
――不登校が増える背景には何がありますか。
不登校の増加傾向が始まった10年ほど前から、不登校の要因が幅広く、多様になったと感じています。勉強についていけないとか、人間関係が築けないという子ども自身の悩みに加え、貧困や虐待といった家庭の問題を抱えていたり、親の病気などでヤングケアラーになっていたりと、様々な事情が不登校につながっています。
背景には社会や学校の変化があります。格差の拡大で、親も子も生きづらい家庭が増えていることは大きいでしょう。11年度からの新学習指導要領で「脱ゆとり」にかじを切り、学習内容が増えたことなども関係しているかもしれません。
――不登校の小中学生数は、21年度と22年度に、いずれも前年度比で2割を超える大幅増となりました。
コロナ禍のもとでは、マスクで互いの表情がわからなかったり、接触を禁じられたりして、子どもにとってただでさえ難しくなっていた対人関係の構築がさらに困難になり、コミュニケーションの経験も乏しくなりました。コロナによる制限が緩和されても、失われた対人スキルは容易に元には戻りません。
学校に行って集団のなかで勉強することはそれ自体、大きなエネルギーが必要です。つらさを抱えながら気力を振り絞って登校していた子も少なくないなか、コロナで対人関係を築きにくくなったことがだめ押しとなり、雪崩を打つように増えたのではないでしょうか。
「やみくもに支援につなげればいいわけではない」
――不登校の小中学生のうち…
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