「何だ、おかまか、おなべか」 偏見乗り越えた性同一性障害特例法

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二階堂友紀
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 戸籍上の性別変更を可能にする「性同一性障害特例法」は2003年に議員立法で成立した。生殖能力の喪失といった「性別適合手術」を求める要件は、どのような経緯で盛り込まれ、当事者らは当時どう考えていたのか。その後、世界では、性別変更の要件はどう変わっていったのか――。

 始まりは1人の国会議員が抱いた問題意識だった。00年8月、自民党の南野(のおの)知恵子参院議員(当時)は、神戸市での「アジア性科学学会」で、性同一性障害のことを知る。

 助産師として多くの赤ちゃんをとりあげ、男女の別を判定してきた南野氏。生まれた時の性別と自認する性別の違いに苦しむ人たちの存在に衝撃を受け、「国会議員として何ができるのか」と自問したという。翌月に党内の勉強会を立ち上げ、03年5月には与党プロジェクトチームの座長に就いて、立法を牽引(けんいん)した。

突然の「子なし要件」

 司法の世界では、当時すでに…

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この記事を書いた人
二階堂友紀
東京社会部
専門・関心分野
人権 性のあり方の多様性 政治と社会
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    天野千尋
    (映画監督・脚本家)
    2023年10月25日17時7分 投稿
    【視点】

    ちょうどこの記事を読んでいる最中に、生殖能力を失わせる手術を必要とする要件は「違憲」と最高裁が決定を下した、という速報がタイムリーに入ってきて、涙が出そうになりました。 WHOからも人権侵害だと指摘されていた性同一性障害特例法の生殖不能要件

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