朝日地球会議で、この春オープンした言論サイト「Re:Ron(リロン)」の連携セッション「問いでつながる 対話するためのヒント」が10月11日、開かれた。リロンのアドバイザーでもある哲学者の永井玲衣さんと、英文学者の小川公代さん、情報学研究者のドミニク・チェンさんが、「対話」「ケア」「共話」というキーワードをそれぞれ持ち寄り、語り合った。
リロンのコンセプトは「立ち止まるためのメディア」。「論破」「ファスト化」「分断」といった社会の歪(ひず)みが浮き彫りになるなか、「対話」を重ねることによって、社会的課題を問い直す場をめざしている。
対話はたくさん話すより「きき合う」場
私たちは本当に対話できているのか。学校や企業、NPOなど様々な場所で哲学対話に取り組み、問いかけ合いながらじっくりと考えを深めていく対話を探求している永井さんが「対話はすごく大事と言うけれど、対話の場ってこの社会にあまりになくて、実際には皆やりたがらない」と問題提起してセッションが始まった。
小川さんは仕事や家事、育児など物理的な忙しさから「対話をつくる機会や時間が現代社会において少ない」、チェンさんは「目的の定まっていない会話に対する抵抗感、不慣れな感じがある」と応じた。
それぞれが考える対話について語りながら、議論は「聴く」ことの重要性へ。「対話ってたくさん話すというイメージが強いけれど、実はきき合う場」と永井さん。チェンさんは「答えが定まらない時間を遊ぶ、楽しむという姿勢がないと、哲学的な対話は日常生活でも発動しない」と話した。娘が幼い頃に「宇宙の中心は水なのかもしれない」と脈絡もない問いをぶつけてきたエピソードを挙げ、「子どもが間違ったことを言うとつい直したくなってしまいがちで、好奇心をつぶしてしまう。けれど、受けとることで哲学的な対話をつくっていくことができる」と語った。
小川さんも「聴くという姿勢…