「詐病ではない」 ウィシュマさん遺族側、入管側の指摘に反論

高橋俊成
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 名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟の弁論が29日、名古屋地裁であった。遺族側は、入管側の医療体制に不備があったと指摘する医師の意見書を提出した。

 ウィシュマさんが亡くなる約10日前の監視カメラには、「息、難しい」などと訴える様子が映っていた。訴訟では、この場面の評価が遺族側と国側とで対立。国側はこれまでに「呼吸困難な状況で言葉を発するとは考えがたい」と指摘する医師の意見書を提出し、体調の悪化とは関係がないとの見方を示していた。

 これに対し、遺族側の医師は「詐病の可能性はない。呼吸困難でもうめき声をあげることはあり得る」と反論。入管側が適切な医療を怠ったと主張した。

 佐野信裁判長はこの日、ウィシュマさんの体調悪化の時期や、入管側の医師の過失の有無などを暫定的な争点とすると指摘。開示・提出されていない290時間分の監視カメラ映像の国への提出命令についても「争点整理も含めて並行して判断していく」と述べた。

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