外国籍のタクシー・バス運転手、増えるのか 先手打つ業界の事情とは
タクシーやバスなどの運転に必要な2種免許で外国語受験に門戸が開かれることは、働き手不足の運輸・運送業界にとって朗報だ。一方、ライドシェアとの競合も課題であるハイヤー・タクシー業界では、すでに外国人の人材確保に向けた「先手」ともいえる取り組みも始まっている。
国土交通省によると、タクシーの運転手数は2021年度は25万334人で、10年前の38万5021人から65%ほどにまで落ち込んだ。コロナ禍で高齢運転手が相次いで離職したことも減少に拍車をかけた。
「とにかく働いてくれるひとがいればウェルカム」(全国ハイヤー・タクシー連合会担当者)という状況にあって、外国人の運転手の存在は魅力的だが、日本語でしか受験できない2種免許は「壁」になっていた。
カンニングで逮捕されたインドネシア国籍の男「受かりたかった」
11月には、大型2種免許の筆記試験でカンニングをしたとして、インドネシア国籍の会社員の男(31)が千葉県警に偽計業務妨害の疑いで逮捕された。千葉地検は11月22日、偽計業務妨害の罪で起訴した。
男は、2種免許の学科試験で、問題をスマホで撮影して画像を友人に送付。捜査関係者によると、男は日本に本社があるツアー会社のジャカルタ支店に勤務し「訪日中国人を対象にした観光バスの運転をしたかった」と説明。日本語の会話は堪能でツアーガイドの資格を取得していたが、学科試験の漢字が理解できずにカンニングしたなどと供述し、「どうしても受かりたかった」と話したという。
外国語受験の解禁に先駆けて外国人運転手の雇用・育成を進めるタクシー会社もある。
約2100人の運転手が所属する「日の丸交通」(東京)。23年12月現在で26カ国・地域の外国人ドライバーが在籍する。中国人約40人、韓国人約10人のほか、欧米やロシア、中東、アフリカ、東南アジア出身者などもいる。正規雇用を求めてやってきた人や、歩合給料制に引かれて転職した人が多いという。
ネックは漢字、地名が苦手 10年滞在でも
外国人雇用に力を入れ始めた…