岸田文雄首相肝いりの組織の信頼性が、のっけから揺らいでいる。自民党安倍派の裏金事件を受けて設けた政治刷新本部に入る同派議員10人のうち、9人に裏金作りの疑惑が発覚。疑惑の渦中にある当事者に説明責任を果たさせないまま、再発防止策に関わらせ続ければ刷新本部の正当性が損なわれることになる。
11日の刷新本部の初会合で、首相は「執行部を中心に若手、青年局、女性局など党を挙げて組織を構成し、事態の原因を踏まえながら再発防止を考えていく」と述べ、国民の信頼回復を急ぐ姿勢を強調した。
記事後半では、関係者への取材で判明した、「政治刷新本部」メンバーで裏金作りの疑いがある安倍派議員の一覧を掲載しています。
メンバー選定について首相は「党全体で議論しないといけない。安倍派を排除した方がいいと言うのは違う」と周囲に語っていたとされる。その意向を踏まえ、最大派閥の安倍派からは最多の10人が選ばれた。
首相とすれば「挙党態勢」を示す狙いがあったが、先月には党幹部や閣僚・副大臣から安倍派を一掃したばかり。その対応との整合性が問われるとともに、所属議員の大半が裏金を作っていたとされる安倍派が再発防止策に携わることには「国民は理解できないはずだ。誤解が生じるメンバーとしか言えない」(二階派若手)との異論がくすぶっていた。
あらかじめ募っていた懸念が的中した格好で、無派閥の閣僚経験者は「そもそもメンバーの精査をちゃんとしたのか。刷新本部の正当性すら問われることになる」と批判する。
裏金作りの疑惑がある議員の参加について首相の対応が問われるが、参院若手は懸念する。「もし安倍派議員を全員取り換えるなんてしたら、もうおしまい。ぐだぐだの組織でポリシーもなにもない。その場しのぎだったと見られる」
一方で、放置したままで議論…