政治とカネで高まる不信、政権選択の行方は 問われる政治改革の功罪
記者解説 編集委員・曽我豪
有権者が良き選択をするには、まず良き総括がなされるべきだ。来たる衆院選はこれが簡単でない。力の対決が世界を覆い、日本も物価高や負担増で生活は苦しい。震災復興という重い課題も抱える。政治資金パーティーをめぐり自民党への不信は募るが野党への期待は伸びず、難局を突破すべき政権の未来像は見えない。
どこで迷い込んだのか。時をさかのぼり四つの歴史を考えた。
まずは2年余だ。2021年10月に岸田文雄政権が登場し衆院選を制して以降、この間の政策遂行はそもそも常道だっただろうか。
防衛費増にせよ、「異次元」の少子化対策にせよ、岸田印の政策群の多くは衆院選や参院選で十分に可視化され信認されたものではない。政権の独善性を問う上で、まずはこの「信認なき断行」についての検証が必要となる。
衆院選は政権の選択、参院選は政権への信認が問われるとされてきた。今回ばかりは衆院選にも信認の側面、つまり実績評価の機能が足されるべきだ。昨秋の減税策提起と同様、政権は選挙前に耳に優しい公約を掲げ、信認よりも政権選択の土俵に引きずり込もうとするだろう。そこは要注意だ。
自民党がポスト岸田を担ごうとするなら、なおさらだ。顔の交代に惑わされず、新首相候補の正体を冷静に暴かなければならない。
ポイント
来秋までにある衆院選に向け「信認なき断行」が際立つ岸田文雄政権の総括が必要だ。自民党の「1強」体制や、二大政党制を期した30年余の政治改革の功罪も問われる。本物か疑似か、約60年前と同じく「政権交代」の中身が問われる分岐点でもある。
次は11年余だ。自公両党が…