PFAS影響で停止中の河川から取水再開 沖縄県、渇水で貯水率低下
沖縄県は11日、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(総称PFAS)が検出された影響で停止中の沖縄本島中部の河川からの取水を再開した。渇水による貯水率低下が理由だが、地元では不安の声が広がる。
沖縄県では近年、米軍基地周辺で、国が定めた暫定目標値を上回るPFASが検出されている。米軍の普天間飛行場や嘉手納基地がある沖縄本島中部の河川でも高い値が検出され、2022年に取水をほぼ停止した。
水源地周辺の降水量は、特に雨が少なかった昨年9月から今年1月まで計379ミリと平年値の半分ほどで、県内の本島に11カ所あるダムの貯水率は11日時点で49・9%と平年値を27ポイント超下回った。県は目安とする貯水率50%を維持するため、河川からの取水の再開を決めた。
県によると、11日から取水するのは本島中部を流れる天願川と嘉手納井戸群。PFASの検出濃度が高い比謝川からの取水は当面見送るが、過去10年で最も貯水率が低かった2018年の44・3%を下回ることを目安に再開する方針だ。
県は、浄水場で処理した水は国が設定した暫定目標値の水1リットルあたり計50ナノグラム(ナノは10億分の1)を下回るため、健康への影響は「問題ない」との見方を示す。浄水処理に必要な原因物質を吸着する活性炭などのPFAS対策費は、沖縄防衛局の補助を受けて県が負担している。
ただ、取水を不安視する住民も少なくない。市民団体「PFAS汚染から市民の生命を守る連絡会」の高橋年男事務局長は、「本当に安全な飲み水なのか疑問だ。汚染源が明らかにされないまま取水を再開するのも問題がある」と話す。
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