GDP転落を嘆くな 米国人経営者が語る湛山の思想と宇沢弘文の記憶
ドイツに抜かれ、世界4位に転落した日本のGDP(国内総生産)。しかし日本研究者として、そして経営者として半世紀にわたり日本を見つめ続けてきたリチャード・ダイクさんは「嘆き悲しむ必要はない」と言います。どんな角度から日本を見ているのでしょうか。
Richard E.Dyck 1945年米国カリフォルニア州生まれ。65年に交換留学生として初来日。米ハーバード大学でエズラ・ボーゲル氏の指導で博士号を取得。同大学、オハイオ州立大学の助教授などを経て、日本で半導体関連の企業を経営。2013年から日本産業パートナーズ取締役。
私は1960年代に留学生として初来日してから日本を見つめ続け、学者から転身した70年代以降はビジネスの立場で日本に関わってきました。その間、日本経済は、やや自信過剰な時期もありました。
しかし、かつて世界2位だった日本経済が4位に順位を下げたとしても、嘆き悲しむ必要はないと思います。少し違った角度から見れば、100年以上前に石橋湛山が目指すべきだと描いた経済の姿に、近づいているといえるからです。
私は米国のハーバード大学で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を著す前のエズラ・ボーゲルさんの指導で、日本研究で博士号を取りました。その間、大正デモクラシーの研究で知られ、石橋研究の第一人者でもある京都大学の松尾尊兊さんから、直接教えてもらう幸運にも恵まれました。
石橋は、岸信介と激しく自民…