輪島の海女、この夏は「ぜったい無理」 海底の隆起で漁船が出せない
鮮やかな青色の海の中に、身一つで潜っていく。5メートル、10メートル、もっと深くまで。頭上をイワシの大群が通り過ぎていき、目の前をイシダイやヒラマサが泳いでいる。
「海女」の世界だ。
能登半島の先端付近にある石川県輪島市では、夏場になると海女が輪島港で船に乗り合わせ、早朝から海に繰り出す。北へ数十キロ。舳倉島(へぐらじま)や七ツ島の周辺へ。午前9時から午後1時までの4時間、多くは2人1組で、代わる代わる潜っていく。
輪島の港町で生まれ、舳倉島で育った門木奈津希さん(43)も海女のひとり。
「ひと昔前までは、中学を卒業してすぐ、だいたいが海女になったんです」
曽祖母、祖母、母も海女で、自身も物心がついたころから海に潜ってきた。「輪島の海女漁保存振興会」会長も務めている門木さんによると、市内には130人ほどの海女がいる。
ウェットスーツ、水中メガネ、フィンを身につけ、口から大きく息を吸い込んで海の中へ。勝負は息が持つ1分半ほど。目をこらし、水深十数メートルの岩場や丸石に生息するサザエやアワビを見つける。手に取り、脇に抱え、10個以上を持って海面へ。2人で交代しながら、何度も何度も。陸では杖をつく高齢の海女も、海の中ではすいすい泳ぐ。
2018年には「輪島の海女…
- 【視点】
こんな句も。 海女(あま)の島一雷雨(ひとらいう)後の陽(ひ)の艶(つや)に 千田一路 海女の島(=舳倉島)に渡る船から見えている、雷鳴をともなった激しい雨の後の日差しに包まれる海女の島の、小さな島の艶やかな美しさを捉えた<陽
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