ロシアのウクライナ侵攻から2年となる24日を前に東京都内で開かれた「日ウクライナ経済復興推進会議」で、日本政府は官民による長期の支援を約束した。しかし、国際的な「支援疲れ」が懸念される中、与党内でも政府の積極姿勢を不安視する声が出ているのを始め、民間企業が戦争中の国で活動する難しさもある。
「日本はこれまでも、そしてこれからもウクライナと共にある」。19日、岸田文雄首相は経団連会館で開かれた会議の冒頭、日ウクライナ両国の政府や企業関係者らを前に講演を行い、こう力を込めた。首相はウクライナ支援を「未来への投資だ」と述べ、長期にわたる支援を表明。ウクライナに進出する日本企業を対象に、投資から得られる所得への税率を引き下げる新たな租税条約をウクライナ側と結び、民間投資の増加につなげていく考えを強調した。
ロシアによるウクライナ侵攻以降、日本のウクライナ支援総額は、融資保証などの財政措置も含めて86億ドル(約1兆3千億円)にのぼる。同国のシュミハリ首相は講演で「パートナー諸国から提供された財政支援の面で日本は4番目の支援国だ」と謝意を示した。
ただし、これからウクライナの復興にかかる費用はこれと比べものにならないほど巨額だ。世界銀行などの試算では今後10年間で4860億ドル(約73兆円)とされ、民間の資金力が欠かせない。政府はこの日の会議で、政府側支援として地雷・不発弾対策などに充てるための158億円の無償資金協力を発表したが、二国間で交わされた56件の協力文書の大半は民間企業によるものだ。外務省幹部は「日本企業も潤うウィンウィンの関係だ」と話す。
政府は企業の投資・貿易リスクを軽減するため、政府系の国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)による支援策で後押しする考えだ。
日本が今回、戦争の続いているウクライナに対し、復興を目的とした支援に力を入れようとしているのは、憲法による制約上、欧米諸国のように武器を輸出できないからだ。日本の軍事支援は防弾チョッキやヘルメットなど殺傷能力のない装備品に限られているため、政府は今回の経済的な復興支援を「日本ならではの貢献」(岸田首相)と位置づけ、ウクライナ側のニーズを聞きながら支援メニューを決めた。
政府がウクライナ支援への関…
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