2040年までに、市町村の半分が「消滅」の可能性に直面する――。民間研究機関が、そんな予測で少子化対策が急務と提言してから10年が経った。だが、人口減の勢いは止まらず、この国の未来像は今もかすんでいる。何に失敗したのか。今からできることは。提言を主導した増田寛也さんに聞いた。
――人口減少に本格的に危機感を抱いたきっかけは。
「岩手県知事を2007年まで12年間務めたとき、人口減を肌で感じました。小学校の統廃合や、成人式の出席者減少といった話をよく聞きましたし、農業や漁業で多くの外国人が働くようになっていた。しかし、まだ当時は国全体では人口が増えていたので、多くの人はあまり気にとめていませんでした。知事を辞めた翌年の08年が、日本の人口のピークでした」
「だから在任中の全国知事会でも、人口減を議論した記憶はありません。私は、岩手県の歴代知事で初めて人口減を前提に長期計画を作ったのですが、議会で『弱気になるな』と怒られました。県人口は戦後ピーク時は約145万人でしたが、今は120万人を切っています」
人口増を目指す政策はタブー視された
――なぜ、当時は関心が薄かったのでしょうか。
「国立社会保障・人口問題研…